イチゴの香り
使っていた歯磨き粉が、もうそろそろ切れます。
期間限定十パーセント増量のを買ったので、ずいぶんと長持ちしました。
しかし、あと数日でお別れになるでしょう。
初めて口に含んだ時は、まず過ぎてびっくりしました。
どこがミントの香りなんだ。
こんなにおいしくないものを、あとどれだけ使い続けなければならないのか。
歯磨きならイチゴの香り、と誰かが歌っていました。
かといって捨ててしまうのも気が引けます。
一刻も早く逃げ出すために、熱心に歯磨きをするようになりました。
朝昼晩以外でも磨いていたと思います。
気持ち多めにブラシにつけ、その長さはブラシ部分の全長と同じくらいでした。
しかしさっきつけた時は、かつての五分の一ほどしか出ていませんでした。
出会ったときには想像もできなかったほどに、愛着が湧いています。
揺れる視界は、ミントの香りが強いからでしょうか。
出会いがあれば、別れもある。
人生は一期一会なのです
いちごだけに。