にしまねのブログ

四季では夏が好きです

思い出の思い出

数少ない趣味の一つは、サイクリングです。

今ではめっきり行かなくなってしまいましたが、中学・高校当たりの頃はそこそこ行っていました。

 

目的地は大抵、片道20キロ前後の場所に設定していました。あまり遠すぎると日が暮れてしまうし、短すぎてもせっかくの休日を満喫できないでしょうし。

 

実際、そのくらいの距離がサイクリングにはちょうどよかったと記憶しています。

 

ほとんどのサイクリングを覚えていて、またかけがえのない思い出となっているのですが、その中の一つにサイクリング仲間と隣町の棚田に行ったものがあります。

 

目的地は山間にある棚田で、ずっと行きたかった場所でした。

 

夏の日の朝、一人の家に集合して道を調べながら向かいます。

とりとめのない会話をしながら交通量の多い道を走ります。

途中からは山道です。初めは頑張って自転車を漕ぐのですが、次第にみんな疲れて押しながら会話します。降りたほうがゆっくり会話はできましたね。

 

長い下り坂を下ったり崖から落ちそうになったりしていると、いつの間にか棚田が増えてきました。

もう少し上ってみると高台になっていて、棚田を見下ろすことが出来ました。

すると、まだ朝の雰囲気を残している風に乗って、どこからともなく音楽が聞こえてきます。

オカリナのような音でした。誰かが吹いているのか、気の利いた観光課が流す音源があるのか。音の正体は分からずじまいでしたが、前者であってほしいものですね笑。

 

棚田の先には小さな集落がありました。静かで人の気配もなかった場所でしたが、どことなくおしゃれで寂れてはいなかったです。

その後山の中にある神社に行き、山を下りて駄菓子屋に寄り道して帰りました。

 

帰るころにはもう夕方なんですよね。今からはもう帰るだけとなった時に感じる気持ちが好きです。どなたか名前を教えてください。

帰りは行きよりも楽しくないなんてよく言いますが、そんなことはないと思います。楽しかったの中には確かに疲れがあって、サイクリングでは体が痛むこともあります。しかし、それを全部ひっくるめて満足感や明日も頑張ろうという気持ちが体を満たしてくれます。これが自転車を漕いでいく力になるのです。

 

最近はどこかに行くとなると車が移動手段になります。仲間ともサイクリングに行くことはほとんどありません。

車というのは便利なもので、快適な環境で運転でき、目的地までの所要時間も自転車にくらべるととんでもなく短縮できます。音楽も流せ、遠くにだって行けます。

 

ですが、やっぱりサイクリングが好きです。のんびりした会話、どこまでも続くような下り道、上り坂だって楽しいです。時には立ち止まって景色を見たり自然の音を聞いたりできます。目的地が必ずしも旅の目的ではないのだと、より実感できるような気がします。

 

今度誰か誘ってみようかな。思い出を追いかけているだけでも、今の自分がそうであるように、きっとそれが思い出になるはずです。